育休明け。
職場に戻るだけでも大きな一歩なのに、「管理職として戻ってきてほしい」と言われたら――
あなたならどう感じますか?
嬉しさの裏にあるプレッシャー、迷い、そして期待。
本記事では、そんな揺れる想いを抱えたまま管理職として復帰した筆者のリアルな体験と、そこで見えてきた「自分なりの答え」、そして今まさに悩んでいるあなたへ届けたいメッセージを綴ります。
- 30〜40代、育休復帰前後の女性管理職候補の方
- 子どもがまだ小さいのに責任が重すぎるのでは、と思っている方
- 時短勤務のままでリーダーをこなせるのか不安な方
育休明けに「管理職」を打診されたときの本音
育休からの復帰直前に「管理職どう?」と声をかけられたとき、私の心にまず湧いたのは「うれしさ」ではなく「怖さ」。
子育てと仕事の両立、そのタイミングで本当にリーダーを任されていいのか?
戸惑いや葛藤のなかで揺れ動いた、ひとりの母としてのリアルな心の声を綴ります。
よろこびよりも「怖さ」が先に来た
「復帰したら、課長をお願いしたいんだけど」
その言葉を上司から聞いた瞬間、私は一瞬フリーズしました。
えっ、今の私に?
思わずそう心の中でつぶやいていました。
育休明け目前。
まだ赤ちゃんだった息子は夜中に何度も起きるし、朝はおむつと離乳食と洗濯物に追われて、時計を見る余裕もない毎日。
そんな状態の私に、突然の「昇進打診」。
うれしいはずなのに、なぜか胸がドキッとしたまま、冷たくなるような感覚すら覚えました。
「え、私に務まるの?」
「復帰したばかりで、いきなり部下持ち?」
「時短のままで、どうやって?」
頭の中は疑問と不安でいっぱいに。
まるで、まだ水に足すら浸けていないのに、いきなり深海に飛び込むような気分でした。
特に怖かったのは、「周りの目」。
自分で勝手に想像してしまうんです。
「なんでこの人が課長?」「時短の人がリーダー?」って。
誰もそんなこと言っていないのに、耳元でささやかれているような気がして。
考えれば考えるほど、喜びよりもプレッシャーの方がぐんぐん膨らんでいきました。
「管理職なんて、自分にはまだ早い」
「まずは生活のリズムを整えさせて」
心の奥では、そんな小さな本音がうずくまっていました。
でも、誰にも言えなくて、ただ笑顔だけ作って。
仕事と育児のどちらかを犠牲にしなければならないんじゃないか、そんなジレンマにもがいていました。
実際のところ、「せめてあと1年、待ってくれたら…」と何度も思いました。
息子がもう少し大きくなってからなら、もう少し自信を持って受け止められたかもしれません。
でも、そんな私が、なぜ最終的にその打診を引き受けることにしたのか。
そして実際にやってみて初めて見えてきた景色──。
次は、その決断の背景と、予想外だった気づきについてお話しさせてください。
「無理かも」と思いながらも、やってみると見えた景色
「育休明けで管理職なんて無理かもしれない」
そんな不安と一緒にスタートした日々。
でも、実際にやってみたからこそ見えてきたものがありました。
最初の3か月の試行錯誤と、思い通りにいかない現実。
それを支えてくれたのは「能力」よりも「環境」だった、という実感。
育休明けのリアルな葛藤と、小さな変化の積み重ねをお伝えします。
最初の壁は「自分の理想と現実のギャップ」
「ちゃんとやらなきゃ」
「今まで通りの自分でいなきゃ」
復帰初日、通勤電車の中で何度も自分に言い聞かせていました。
だけど、現実はそんなに甘くなくて──。
育休から復帰した私が最初にぶつかったのは、理想と現実のズレでした。
仕事も家庭も、両方しっかりこなす「理想の自分」像があったんです。
けれど、朝は保育園の支度でバタバタ、5分送れるだけで朝礼に間に合わない。
夜は子どもの寝かしつけが長引いて、部下からのSlackにすぐ返事できない。
「前の私」なら当たり前にできていたことが、今はどうしても追いつかない。
私はダンドリやタスク管理が得意で、「ミスなく、丁寧に」がモットーでした。
でも、そのやり方がまったく通用しない。
資料も、時間をかけて作り込みたくても無理がある。
ある日、気づいたら夕飯作りながらスライドの構成を頭の中で考えていて、「あれ、これっていつか倒れるやつじゃない?」って自分で笑ってしまいました。
そんなとき、上司との1on1でふいに言われたんです。
「完璧じゃなくていい。チームでやるんだから」
その一言で、肩にのしかかっていた「理想の自分像」が少しだけ緩みました。
私、ずっと一人で背負おうとしてたんだなって。
それから少しずつ、「8割でOK」「できない日は、できないって言っていい」と、自分をゆるす練習を始めました。
完璧を目指すのをやめたら、不思議と毎日がちょっとだけ軽くなった気がしたんです。
「助けて」と言えたことで変わったこと
でも、どれだけ気持ちを切り替えても、「全部なんて無理…」と感じる日はやってきます。
そんなとき、私が学んだのは「助けて」と口にする勇気でした。
以前の私は、「頼ること=甘え」だと思っていました。
責任感が強いタイプだと自覚していたし、「迷惑かも」「頼りないと思われたくない」と、必要以上に強がっていた気がします。
でも、ある月末。
どうしても締め切りの資料が間に合いそうになくて、思いきって部下に「ちょっと途中なんだけど、見てもらえる?」と声をかけてみたんです。
そしたら、「あ、この前の提案に似てますよね。こっちで最後までまとめますよ」と、笑顔でサラッと引き受けてくれました。
しかも、私にはなかった視点を入れて仕上げてくれて。
思わず「頼んでよかった…!」と、心の中でガッツポーズをしました。
パートナーにも、「今日だけ保育園の迎え、お願いできる?」と恐る恐る言ってみたら、「全然いいよ。明日は出張だけど、今日は早く帰れるし」とあっさりOK。
なんだ、もっと早く頼ればよかったんだって拍子抜けしました。
そこから、「助けて」のハードルがどんどん下がっていきました。
そして、頼ることで生まれた余裕のおかげで、「自分も、誰かの力になれてる」と思えるようになったんです。
それは、マネージャーとして部下を信じて任せることにもつながりました。
家庭でも、お互いに助け合うことで、前よりずっとあたたかい会話が増えた気がします。
完璧じゃなくても大丈夫。
うまくいかない日もあっていい。
そう思えたとき、私はやっと「管理職になってよかったかも」と心から思えたんです。
次は、そんな日々の中で見えてきた「管理職のリアル」について、もう少し掘り下げてお話しします。
もし今、「私には無理かも…」と感じている方がいたら、声を大にして伝えたい。
大丈夫。
ひとりで抱えなくていいんです。
あなたのペースで、あなたらしく、歩んでいけばいい。
どんな歩幅でも、それは確かに前に進んでいますから。
それでも、やってよかった。管理職になったからこそ見えた3つの景色
育休明け、正直「無理かも…」と思いながらも管理職を引き受けた私が、その数年後に気づいた「思いがけない実り」。
キャリアだけじゃなく、「生き方そのもの」に自信を持てるようになった、そんな変化の軌跡を綴ります。
「育休明けで管理職? 無理無理、私には荷が重すぎる」
そんな言葉が、当初、私の頭の中をぐるぐる回っていました。
仕事に戻れば、やるべきことは山積み。
それに、家にはまだ小さな子どもがいて、夜泣きと発熱で体力も気力もギリギリ。
正直、何度も「全部、投げ出してしまいたい」と思いました。
それでも今、あの時の自分に伝えたいんです。
「よく踏み出したね。あの一歩が、あなたの人生を前に進めてくれたよ」って。
ここでは、そんな私が管理職として働くなかで得た「3つの気づき」をご紹介します。
それは、単なる昇進ではなく、自分自身の「生き方」に確かな手応えを持てるようになったこと。
たとえ毎日バタバタでも、未完成でもいい。
今いるその場所から、あなたにしか見えない景色があるはずです。
子育てと仕事の「両立」が、実はマネジメント力の源だった
「どうやって両立してるの?」
よく聞かれる質問ですが、正直うまくできているかなんて、今でもわかりません。
ただ一つ確かなのは、「育児の経験そのものが、仕事に生きている」ということ。
たとえば、子どもの夜泣きが続いた次の日。
頭はぼーっとしてるし、心の余裕もない。
でもそんなときに限って、保育園から呼び出しの電話がきたりするんです。
…ね? 予測不能すぎて、笑っちゃいますよね。
そんな毎日の中で、「思い通りにいかない」ことへの柔軟さや、相手の気持ちに寄り添う力が、自然と身についていった気がします。
ある日、部下のミスに対して思わず口を出しそうになったとき、ふと「うちの子にも、完璧を求めすぎてるな」と気づいたんです。
それからは、部下にも「大丈夫。次に活かそう」と声をかけられるようになりました。
以前は数字や結果ばかりを追っていた私が、今では「このチームで働けて、幸せかな?」ということも気にかけるようになった。
それはきっと、母としての視点が加わったからこそ。
家庭での経験は、むしろマネジメントの「土台」になる。
そう気づけたとき、自分の中で何かがすっとつながった感覚がありました。
「私でもできた」その姿が、誰かの背中を押していた
ある日、後輩の女性社員がそっと声をかけてくれたんです。
「神崎さんが、子育てしながら管理職している姿を見ると、私も希望が持てます」って。
…その一言で、涙が出そうになりました。
私自身は毎日いっぱいいっぱいで、ミスもするし、完璧とは程遠い。
でも、そんな私の存在が誰かの希望になっていたなんて。
想像もしていませんでした。
それから、「私はちゃんとやれている」と思えなくても、「それでも、ここにいていい」と感じられるようになりました。
自分が歩いている姿そのものが、「子どもがいても、働き方を諦めなくていいんだ」と思えるきっかけになる。
それって、すごく意味のあることなんじゃないか。
そう思えたとき、ようやく自分の選択を誇れるようになったんです。
育休明けで不安な方に伝えたい。
あなたが進もうとするその姿が、いつか誰かの「道しるべ」になります。
だからこそ、怖くても、一歩踏み出してほしい。
そしてこれまでの経験をもう一度ふりかえりながら、「あなたがどう一歩踏み出すか」について一緒に考えていきましょう。
迷っているあなたへ伝えたいこと
育休明けに管理職の打診を受けたとき、誰だって迷います。
「できるのかな」「家庭とのバランスは?」──そんな不安を、消さずに抱きしめながら進む方法。
「選ばなきゃ」ではなく、「どう選ぶか」を考えるためのヒントを、等身大の言葉でお届けします。
育休明けで「責任のあるポジション」を任されることに、最初は心がついていきませんでした。
でも同時に、「もしかしたら、できるかも」という小さな希望もあったんです。
そのふたつの気持ちが、頭の中でせめぎ合っていました。
今だから言えるのは、「迷って当然」ということ。
むしろ、ちゃんと迷ったからこそ、自分にとって納得のいく道を選べたと思っています。
私たちが背負っているのは、仕事だけじゃありません。
家族、育児、健康、将来のこと…。
どれもかけがえのない要素で、決して軽く扱えない。
だからこそ「決められない自分」に罪悪感をもつ必要なんてないんです。
じゃあ、どうやって「答え」を見つけていけばいいのでしょうか。
私がたどり着いたのは、不安をゼロにしようとするんじゃなくて、「不安と一緒に歩く」という視点を持つことでした。
たとえば、自分にこんな問いかけをしてみてください。
- 「本当はどうしたいと感じている?」
- 「無理かもって思ってるのは、誰の目を気にしてるの?」
- 「もしやるとしたら、誰にサポートをお願いできそう?」
- 「1年後、どんな自分に拍手を送りたい?」
ひとつひとつ答えていくうちに、少しずつ自分の「軸」が見えてきます。
私も、周りの期待より「私自身がどうありたいか」に目を向けたとき、ようやく前に進む決意ができました。
不安って、なくならない。
でもね、それは「本気で向き合ってる証拠」なんです。
怖いのは当然。
でも、どこかで「やってみたい」と思っている気持ちがあるからこそ、揺れるんですよね。
その声に、どうか耳を澄ませてみてください。
そして最後に、これだけは伝えさせてください。
どんな選択をしても、あなたの価値は変わりません。
挑戦してみるのも、いまは見送るのも、どちらも尊い選択です。
大切なのは、「自分で決めた」ということ。
これから始まるのは、あなた自身の物語。
その主人公は、誰でもない、あなたです。
次は、同じように迷いながらも自分の道を選んだ女性たちの声をお届けします。
きっとあなたの心にそっと寄り添ってくれるはずです。
育休明けに管理職を引き受けた女性たちのリアルな声
育休明けのタイミングで管理職に挑戦した女性たちの、実際の声を集めました。
SNSやインタビューから抜粋したリアルな体験談には、迷いながらも一歩を踏み出した等身大の言葉があふれています。
「私だけじゃない」――そう思える誰かの言葉が、きっとあなたの支えになるはずです。
「育休明けに管理職なんて、本当にできるのかな」
そんな不安を抱えているのは、あなただけではありません。
ここでは、実際にその一歩を踏み出した女性たちの声をご紹介します。
家庭の事情も働く環境も、誰ひとり同じではないけれど――彼女たちの言葉の中には、きっとあなたと重なる想いや、心に刺さるひと言があるはずです。
◆「想像よりずっと大変。でも、自分を誇りに思えるようになった」
30代・メーカー勤務・課長職
正直、なめてました(笑)。
戻ってすぐに管理職で、初日からいきなり会議漬け。
帰宅後は子どもの寝かしつけ、その後に資料作成。
まさに「気を抜けない毎日」です。
でもね、ふとした瞬間に思ったんです。
私、ちゃんと頑張ってるなって。
誰に褒められなくても、自分が一番わかってる。
忙しいけれど、何だか地に足のついた「自分の人生」を歩いている実感があります
◆「子どもとの時間の『質』が変わった」
40代・IT企業・マネージャー職
平日はどうしても時間が限られるから、意識して「濃い時間」を持つようになりました。
朝ごはんを一緒に作るとか、寝る前にぎゅっとハグするとか。
たった5分でも、心が通う時間ってあるんですよね。
ある日、息子が「今日のママ、すごくニコニコだった!」って言ってくれて…泣きそうになりました。
働き方が変わったことで、むしろ家族との関係が深くなった気がしています
◆「最初の一歩を踏み出せたのは、先輩の『あなたならできるよ』の一言だった」
30代・人材業界・係長職
打診されたときは、何日も悩みました。
家庭のこと、子どもの体調、保育園のお迎え…。
考えれば考えるほど不安が増していって。
でも、ある日先輩がポンと背中を押してくれたんです。
「完璧じゃなくていい。むしろ、周りに頼ったほうがうまくいくよ」って。
その瞬間、スッと心が軽くなって。
あの言葉がなかったら、今の私はいなかったかもしれません。
今は私が後輩に「あの一言」を渡す番かなと思っています
選択に「正解」はありません。
ただひとつ言えるのは、どんな選択にも「あなたらしい意味」が宿るということ。
悩んで、考えて、それでも「やってみよう」と思えた日。
その一歩が、あなたの背中にそっと羽を生やしてくれるはずです。
そして、あなたの今日の決断が、いつか誰かの勇気になる日が来るかもしれません。
そう考えると、少しだけ前を向ける気がしませんか?
まとめ:管理職として歩き出すあなたへ
完璧じゃなくても、誰かの真似じゃなくても、自分の選んだ道を信じていいんです。
「管理職になる」
この言葉、今のあなたにはどんな風に聞こえますか?
胸がスッと引き締まるような誇らしさと同時に、胃のあたりにずしりと重くのしかかるプレッシャーや、「私にできるのかな」という不安。
そんな感情が、ぐるぐると渦を巻いているかもしれません。
でもね、それってすごく自然なことです。
むしろ、何も感じないまま流されるよりずっと「真剣」な証だと、私は思います。
私自身もそうでした。
育休明け、「戻るだけでも精一杯なのに、その上、管理職なんて…」と、正直、気が遠くなったんです。
だけど、周囲の支えや、ふとした先輩の言葉、何より「未来の自分の姿」を想像して――
思い切って、引き受けてみました。
最初は失敗の連続。
「時短なのに会議の主導なんてできるの?」「部下のフォローまで手が回らない」
そんな声なき声に心が折れそうになったことも。
でも、少しずつ」私なりのやり方」を見つけていくうちに、少しずつ景色が変わってきたんです。
「完璧じゃなくてもいい」「迷いながらでも進めばいい」そう思えるようになりました。
管理職になることって、単なるポジションの話ではありません。
それは、自分の「これからの生き方」に向き合うことでもあるんです。
「子どもがいるから」ではなく、「子どもがいる私だからこそできること」が、きっとある。
その視点に立ったとき、私はようやく「自分の選択」を誇れるようになりました。
あなたにも、きっとそんな日が訪れます。
今日、この記事を読んでくれたあなたに、伝えたいのはただ一つ。
あなたの歩幅で、あなたらしく進んで大丈夫だということ。
完璧でなくていい。
何度でも立ち止まっていい。
でも、いつかきっと「やってみてよかった」と思える日が来ます。
新しい扉の前に立つあなたへ。
深呼吸をして、少しだけ前を見てみてください。
その先にある未来は、きっと今よりもっと、あなたらしく輝いています。