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インバスケット試験で差がつく 部下対応と顧客トラブルの判断術

インバスケット試験で差がつく 部下対応と顧客トラブルの判断術
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「ミスが続いている部下。ここは少し強めに指導したほうがいいのか」

「かなり怒っている顧客。自分がすぐ謝罪に行くべきか」

インバスケット試験で、こんな案件を前に鉛筆が止まったことはないでしょうか。

人が絡む案件は、なんとも悩ましいものです。
数字を比べて優先順位を決めるようにはいきません。
部下への配慮もいる。顧客への誠意もいる。
かといって、「よく話を聞きます」「丁寧に対応します」で丸く収めようとすると、今度は管理職としての判断が見えにくくなります。

ここで考えたいのは、「何と言えば正解か」よりも、この状況から何を読み、何を先に動かし、誰に任せ、その後をどう追うかです。

声のかけ方や謝罪の言葉を覚えても、問題文が少し変わると手が止まります。
頼りになるのは、言い回しより判断の軸。

この記事では、部下対応と顧客トラブルを題材に、インバスケットで迷いやすい判断をどう組み立てるか、具体的に見ていきます。

受験者

部下には厳しく言うのか、まず話を聞くのか……。こういう問題って、結局「正解の対応」を覚えておくしかないんでしょうか?

評価者

対応そのものを覚えるより、「何を優先したか」を説明できるほうが大切です。
同じ部下のミスでも、顧客への影響や原因が変われば、取るべき行動も変わります。

受験者

なるほど。答えを覚えるより、答えを決める基準を持っておく、ということですね。

この記事でわかること
  • 部下対応で押さえたい判断の考え方
  • 顧客トラブルで確認したい対応の順序
  • 「確認します」で終わらせない答案の作り方
  • 本番で判断に迷いにくくする練習法

インバスケット演習の形式や基本的な進め方から確認したい方は、こちらの記事で全体像を整理できます

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目次

インバスケット試験で差がつく「判断力」とは

インバスケットで「判断力」と聞くと、短時間で正解を選ぶ力を思い浮かべる人も多いでしょう。

もちろん、決める力は欠かせません。

ただ、管理職の判断はクイズの4択とは少し違います。
評価する側が見たいのは、最終的に選んだ行動とともに、何を問題と捉え、何を優先し、誰をどう動かそうとしたかという一連の考え方です。

たとえば、部下からミスの報告を受けた場面。

「本人を注意する」

真っ先に浮かびやすい対応ですね。

ところが、そのミスですでに顧客へ影響が出ているなら、本人への注意より先に顧客対応を急ぐ場面かもしれません。

同じミスが部署内で何度も起きているならどうでしょう。
本人に「次から気をつけて」と伝えても、翌週また別の人が同じ穴にはまる可能性があります。
ここでは、業務手順やチェック方法へ目を向ける必要が出てきます。

つまり、インバスケットでいう判断力は、

もっともらしい対処法を当てる力というより、状況を読み、優先順位を決め、必要な人を動かし、その先まで見通す力と捉えたほうが実戦向きです。

人が絡む案件ほど、この「どこまで見えているか」が答案に出ます。


インバスケットを含め、管理職試験全体で評価者がどこを見ているのかを整理したい方は、「管理職試験の評価基準を読み解く 評価者が重視する判断と行動」も参考にしてください。

対応を決める前に、4つだけ見る

部下の問題を読んだ瞬間、

「注意しよう」
「面談しよう」

顧客からクレームが来れば、

「謝罪しよう」
「自分が訪問しよう」

こう考えるのは自然です。実務でも、目の前の相手への対応が最初に浮かぶでしょう。

ただ、インバスケットでは、その前に数秒入れたい確認があります。

見るのは次の4つ。

  1. 何が起きているか
  2. 放置すると何が起きるか
  3. 誰が動くべきか
  4. どこまで確認するか

たとえば、部下が顧客への提出期限を守らなかった案件なら、「叱るか、叱らないか」で考え始めると視野が狭くなります。

先に見るのは、

  • 顧客への影響はすでに出ているか
  • 今後の取引に影響しそうか
  • 本人の能力や仕事の進め方に原因があるのか
  • 業務量や指示の出し方にも問題が潜んでいるか
  • 今すぐ管理職が動く場面はどこか

といった点です。

顧客トラブルでも考え方は同じ。

苦情メールを見た瞬間に「最優先」と決める前に、被害の大きさ、時間がたったときの悪化、ほかの顧客への波及、社内で止められる範囲を見る。

このひと呼吸が入ると、案件ごとの対応パターンを丸暗記しなくても考えやすくなります。

本番では、こういう小さな「間」が意外と効きます。
急いでいるときほど、勢いで「とりあえず謝罪」「とりあえず面談」と書きたくなるものですから。

対応する前に見る4つ

STEP
何が起きているか

まず事実をつかむ

STEP
放置すると何が起きるか

影響と悪化の可能性を見る

STEP
誰が動くべきか

自分・部下・関係部署を切り分ける

STEP
どこまで確認するか

対応後の報告・確認まで決める

「目の前の人」で答案を閉じると、視野が狭く見える

人が絡む問題では、どうしても相手への対応に意識が寄ります。

部下なら、

「本人から事情を聞く」
「注意する」
「指導する」

顧客なら、

「謝罪する」
「訪問する」
「丁寧に説明する」

どれも必要になる場面はあります。

ただ、そこで筆を置くと、管理職として見ている範囲が少し狭く映ります。

部下がミスをした。

本人を指導して終えるのか。
同じミスを防ぐため、チェック方法や仕事の割り振りまで見直すのか。

顧客から商品の不具合を指摘された。

その顧客に謝罪して終えるのか。
同じ製品を納めた他社にも影響が及んでいないか確認するのか。

ここに差が出ます。

人対応案件では、頭の中で視線を少しずつ外へ広げてみてください。

「目の前の人」から視野を広げる

本人・顧客への対応
 ↓
業務への影響
 ↓
関係者への働きかけ
 ↓
組織としての対応
 ↓
再発防止

この順に見ると、「優しく言うか、厳しく言うか」という迷いから抜けやすくなります。

管理職として問われているのは、言葉の強さより、問題をどの範囲まで捉えたかです。

部下対応と顧客トラブルはこう判断する

ここからは、試験で迷いやすい2つのケースを使って考えてみましょう。

部下対応と顧客対応。ぱっと見は別ジャンルです。

ところが、答案を組み立てる順番には共通するところがかなりあります。

部下対応は、まず「叱る」から離れてみる

次のような案件が出たとします。

部下Aが、顧客への見積書を2度続けて期限までに提出できなかった。

この1文を読んで、

「Aを呼んで注意する」

と書きたくなる人は多いと思います。

2度目ですからね。「またか」と言いたくなる気持ちもわかります。

とはいえ、管理職として最初に見たいのはAの反省度より、何が起き、誰にどの程度の影響が及んでいるかです。

たとえば、

  • 顧客への提出は何日遅れたのか
  • 顧客側の業務に支障が出ているか
  • 営業担当者がすでにフォローしているか
  • Aはほかの仕事でも期限遅れを起こしているか
  • Aに仕事が集中していないか
  • 期限や優先順位は明確に伝わっていたか

このあたりを見ます。

ここを飛ばして「注意する」と決めると、原因を取り違えることがあります。

本人の時間管理に課題があるなら、本人への指導が必要でしょう。

一方で、急ぎの仕事を次々に追加され、本人が優先順位を決めきれずにいたなら、管理側の仕事の振り方にも手を入れたいところです。

同じ「期限遅れ」でも、中身はかなり違います。

部下のミスを見たときの判断

顧客・業務への影響を確認
 ↓
本人から経緯を確認
 ↓
原因を3方向から見る:本人・仕事量・仕組み
 ↓
改善策を決める
 ↓
期限を決めて改善状況を確認

評価につながりにくい回答

A本人を注意し、今後同じことが起きないよう指導する。

対応そのものは書かれています。

ただ、「何を問題と見たのか」「何を変えるのか」が読み取りにくく、指導後の確認も見えません

これでは、評価者からすると「注意した。それで?」となりやすいところです。

評価につながりやすい考え方

顧客への影響を確認したうえで、A本人から遅延の経緯を聞く。
業務量、進捗管理、本人の理解度などから原因を整理し、必要な改善策を決める。
次回の提出期限前に進捗を報告させ、改善状況を確認する。

こちらは、

影響確認 → 原因確認 → 改善 → フォロー

まで進んでいます。

ポイントは、文章を長くすることではありません。

答案で増やしたいのは文字数より、判断の中身です。

「注意する」で終わらせず、

  • 何を確認するのか
  • 何を変えるのか
  • いつ確認するのか

この3つを入れると、管理職としての動きが見えやすくなります。

そして、部下対応では、もう1つ覚えておきたい視点があります。

「本人をどう変えるか」と「仕事の進め方をどう変えるか」をセットで見ること。

何でも本人の問題にすると、指導一辺倒になりがちです。

逆に、何でも仕組みの問題にすると、本人に求める改善がぼやけます。

人と仕事、その両方を見る。

この癖がつくと、部下案件はかなり整理しやすくなります。

「そこまで考えていたら時間が足りません」という人へ

ここまで読むと、

「試験中に原因を6つも7つも考えていたら、時間が終わります」

と思うかもしれません。

そこまで一つひとつ掘り下げなくても大丈夫です。
本番では、原因を大きく3つに分けて見るくらいで十分です。

まずは、

  • 本人
  • 仕事量
  • 仕組み

この3方向からざっと見る。

受験者

「本人・仕事量・仕組み」と言われても、本番でどう見分ければいいのか迷いそうです。

評価者

難しく考えなくて大丈夫です。
「本人のやり方に原因がある?」「そもそも仕事を抱えすぎている?」「誰がやってもミスしやすい手順になっている?」と3つ見れば十分です。

受験者

たとえば期限遅れなら、すぐ「本人の時間管理が悪い」と決めない、ということですか?

評価者

そうです。仕事の振り方やチェック方法まで見えると、管理職としての視野が答案に出てきます。

本人の能力や進め方か。
仕事を抱えすぎているのか。
手順や管理方法に問題が潜んでいるのか。

この3つを頭に置くだけでも、「本人を注意して終了」という答案から抜け出しやすくなります。

顧客トラブルは「謝る」より先に見るものがある

では、次のケース。

主要顧客から「納品された商品の一部に不具合がある」と営業担当へ連絡が入った。
商品は翌日から使用する予定で、担当者から対応について相談を受けている。

顧客からのクレーム。

しかも主要顧客。

こう書かれると、少し身構えますよね。

「最優先で対応する」
「すぐ謝罪する」
「自分が顧客先へ行く」

頭の中にこの3点セットが浮かぶ人もいるでしょう。

ただ、ここでも一度バラして考えます。

最初に見るのは、時間がたつと、何が悪化するかです。

翌日から使用予定の商品なら、対応が遅れるほど顧客業務への影響が大きくなる可能性があります。

であれば、まず不具合品の使用を止めてもらう。代替品を準備できるか確認する。必要に応じて対象商品の範囲も押さえる。

謝罪より先に、被害を広げない動きが必要な場面です。

同時に、事実も確認します。

  • 不具合は何件発生しているか
  • どの製品やロットが対象か
  • 使用した場合、安全面の問題はあるか
  • 同じ商品をほかの顧客にも納品しているか
  • 代替品を用意できるか

このあたりが見えてくると、「自分が謝りに行くか」という話より先に、何を動かすべきかが見えてきます。

順番にすると、

STEP
被害拡大を止める

STEP
事実を確認する

STEP
顧客へ対応方針を示す

STEP
社内関係部署を動かす

STEP
原因究明と再発防止へ進む

という流れです。

謝罪で答案を閉じると、管理職の仕事が途中で止まる

顧客トラブルでよく見かけるのが、

顧客へ謝罪し、丁寧に説明する。

という回答です。

謝罪はもちろん必要でしょう。

けれど、管理職が頭を下げて場を収めても、不具合品が倉庫から次々出荷されていたら困ります。

営業担当には、顧客側の状況を確認してもらう。

品質部門には、不具合原因と対象範囲を調べてもらう。

物流には、代替品の手配可否を確認する。

影響が大きいなら、上司への報告も必要です。

同じ製品を別の顧客へ納めているなら、そちらへの影響も見る。

こう考えると、答案の中心が変わってきます。

「顧客に丁寧に接する人」から、「問題の拡大を防ぎながら組織を動かす人」へ。

インバスケットで見せたいのはこちらです。

クレームなら全部最優先?

ここで、もう一つ迷いやすい点に触れておきましょう。

「顧客からのクレームは最優先」

こう覚えている人もいるかもしれません。

受験者

顧客からクレームが来たら、迷わず最優先だと思っていました。違うんですか?

評価者

「クレーム」という言葉だけで順位を決めると危険です。
見るのは中身。安全への影響が迫っている案件と、請求書の表記確認では、急ぎ方が変わります。

受験者

ということは、「誰から来た案件か」より「放っておくと何が起きるか」を見る?

評価者

その考え方です。影響の大きさと、時間がたったときの悪化。
この2つを比べると判断しやすくなります。

クレームの中身はさまざまです。

製品の不具合によって安全面への影響が懸念されるケース。

請求書の表記について問い合わせが来ているケース。

どちらも顧客からの連絡ですが、時間がたったときの影響は同じではありません。

そこで見るのが、

  • 放置したときの影響の大きさ
  • 時間の経過による悪化の程度

です。

「クレーム」というラベルに反応するより、中身を見る。

この一手間で、優先順位の判断はかなり安定します。


複数の案件が並んだときの優先順位や時間配分については、「管理職試験インバスケット演習|時間配分と優先順位の決め方」で詳しく解説しています。

答案は「指示した後」まで書く

部下対応と顧客対応。

内容は違っても、答案の流れを並べるとよく似ています。

把握 → 判断 → 指示・対応 → 確認 → 再発防止

ここで、受験者の答案を見ていると、ときどき「指示」でぷつんと終わります。

たとえば、

営業担当に顧客への説明を指示する。

あるいは、

部下に改善するよう指導する。

指示を書いた瞬間、なんとなく仕事を終えた気分になるんですよね。

実務でも「頼んだよ」と言った瞬間、頭の中で案件が完了フォルダに入りそうになることがあります。
もちろん、本当はそこからです。

指示を出したら、結果を見る。

改善を求めたら、変化を見る。

仕事を任せたら、必要な報告を受ける。

答案にも、

  • 誰に
  • 何を
  • いつまでに
  • どう報告させるか

を入れられると、実行まで見通した処理になります。

たとえば、

営業担当に本日中の顧客状況確認を指示し、対応結果の報告を受ける。

これなら、任せた後まで見えます。

部下の改善なら、

次回の提出期限の2日前に進捗報告を求め、改善状況を確認する。

と書けます。

答案を見直すとき、最後に一度こう聞いてみてください。

この指示を出したあと、自分は何を見る?

指示の後まで考えることで、答案に管理職としてのフォローが加わります。

本番で迷わない判断力をどう磨くか

判断力を高めようとして、模範解答をたくさん覚える人がいます。

真面目に勉強している人ほど、やりがちです。

「期限遅れなら面談」
「クレームなら謝罪」
「重要案件なら上司へ報告」

手元のノートには、だんだん立派な対応集ができあがります。

ただ、本番の問題は少し意地悪です。

練習では「期限遅れ」だったものが、本番では「部下が業務を抱え込んでいる」に変わる。
練習では「製品不具合」だったものが、「他部署との連携不足による納期遅延」になる。

こうなると、覚えた答えをそのまま置けません。

そこでストックしておきたいのが、答えより考える順番です。

模範解答では、行動より「その判断をした根拠」を読む

模範解答を見ると、つい答えそのものに目が行きます。

「この案件は部下に任せるのか」

「ここでは上司に報告するのか」

もちろん、それも参考になります。

もう一歩踏み込んで、

  • どうしてこの案件を先に処理したのか
  • どうして本人以外にも確認したのか
  • どうして自分で処理せず部下へ任せたのか
  • どうして上司への報告が必要なのか
  • どうして再発防止まで考えたのか

と問い直してみてください。

模範解答から抜き出したいのは、行動そのものより、その後ろにある判断軸です。

たとえば、

安全面への影響が大きいため、先に処理した。

ここまで理解していれば、次に出てくる案件が製品不具合でなくても、安全リスクを含む問題に気づきやすくなります。

練習の流れは、

模範解答を読む
 ↓
判断の根拠を拾う
 ↓
別のケースに当てはめる

この形に変えてみましょう。

答えを覚える勉強から、判断を再現する勉強へ。

ここが切り替わると、初見案件への強さが変わってきます。

1案件5分で「判断の骨組み」を作る

判断力を鍛えるなら、長時間の模擬試験ばかりやる必要はありません。

短い練習もかなり使えます。

1つの案件を読み、5分程度で次の5つに答えてみてください。

  1. 何が問題か
  2. 放置すると何が起きるか
  3. 最初に何をするか
  4. 誰を動かすか
  5. その後、何を確認するか

文章に仕上げなくても構いません。

たとえば、

部下が顧客への報告を忘れた。

という案件なら、

①顧客への報告遅れ
②顧客の信頼低下、業務への影響
③顧客側への影響を確認
④本人から経緯を聞き、必要に応じて担当者へ対応を指示
⑤次回の報告期限前に進捗を確認

こんな形で十分です。

最初からきれいな答案を作ろうとすると、文章を整えることに時間を取られます。

「この言い回しでいいかな」と悩んでいるうちに、肝心の案件が3つ残る。
インバスケットでは、わりと笑えない展開です。

まず鍛えたいのは、案件を読んだら短時間で判断の骨組みを出す力

文章力は、その骨組みを伝えるために使います。

順番を逆にしないことです。

1案件5分の判断トレーニング

順番自分に聞くこと
1 問題何が問題か
2 影響放置すると何が起きるか
3 初動最初に何をするか
4 人誰を動かすか
5 確認その後、何を確認するか

自分の答案には、たいてい「抜けやすい場所」がある

演習を何度か続けると、自分の答案に癖が見えてきます。

たとえば、

「部下への指示は書くのに、確認時期を書き忘れる」

「顧客への対応は細かいのに、社内への横展開が弱い」

「原因を考えすぎて、最初の応急対応が遅れる」

「自分で全部処理しようとして、部下に仕事を振れない」

こうした癖です。

答案を書くたびに全部直そうとすると、頭の中が忙しくなります。

そこで、次の演習では1つに絞ります。

「今日は、指示した後の確認まで書く」

その次は、

「今日は、誰に任せられるかを見る」

1回の演習で1テーマ。

このほうが、自分の変化もわかりやすくなります。

判断力という言葉は少し大げさに聞こえるかもしれません。

「管理職経験を何年も積まないと身につかないのでは」と感じる人もいるでしょう。

けれど、試験対策として鍛えられる部分はかなりあります。

案件を読んだら、

  1. 何が問題か
  2. 放置すると何が起きるか
  3. 最初に何をするか
  4. 誰を動かすか
  5. その後、何を確認するか

迷ったら、この順番へ戻る。

本番で頼りになるのは、暗記した1文より、こうした「戻れる型」です。

受験者

いろいろ出てきましたが、本番で迷ったときは結局、何を思い出せばいいですか?

評価者

5つです。問題、影響、初動、人、確認

受験者

何が問題か、放置するとどうなるか、最初に何をするか、誰を動かすか、その後どう確認するか、ですね。

評価者

そうです。この順番に戻れば、初めて見る案件でも考えを整理しやすくなります。


ここまで紹介したのは、部下対応や顧客トラブルで判断するときの一例です。

実際のインバスケットでは、これに加えて、優先順位、委任、上司への報告、関係部署との調整などを限られた時間で組み合わせていきます。

「案件を読んだあと、何を考え、どこまで答案に書けばよいか」をもう少し体系的に練習したい方は、拙著「評価者はここを見る!インバスケットの解き方」で、判断の組み立て方を順を追って解説しています。

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まとめ 「この次、何が起きる?」まで見る

部下対応では、相手に何と言うか。

顧客トラブルでは、どう謝罪するか。

どちらも大切です。

ただ、そこで視線を止めず、もう一歩先を見てみてください。

その対応で顧客への影響は止まるのか。
部下の仕事の進め方は変わるのか。
周囲で同じ問題が起きる可能性はないか。
誰を動かし、いつ結果を確かめるのか。

管理職の判断では、「今この場をどう収めるか」と同時に、「この次に何が起きるか」まで見通す視点が求められます。

インバスケットで磨きたい判断力も、まさにそこです。

派手な解決策をひらめくことより、

何が問題か。
放置すると何が起きるか。
最初に何をするか。
誰を動かすか。
その後、何を確認するか。

この5つを短時間で組み立てられるようにする。

部下対応や顧客トラブルで迷ったときは、まずここへ戻ってみてください。

管理職試験についてよくある質問

回答欄が短い場合、何を優先して書けばよいですか?

回答欄が短いときは、経緯を長く説明するより「判断・具体的な行動・期限や確認方法」を優先します。

たとえば「営業担当に本日中の状況確認を指示し、15時までに報告を受ける」のように、誰が何をいつまでに行うかを入れると処理が伝わりやすくなります。

情報が足りない案件では、確認事項も一言添えます。

試験ごとに回答形式は異なるため、事前に記入量も確認しておきましょう。
短い答案ほど、抽象語より具体的な動詞が効きます。

部下の提案に賛成できない場合、却下してもよいですか?

部下の提案を採用しない判断もあり得ます。
大切なのは「却下」で終えず、何を基準に判断したかを示すことです。

予算、安全性、社内ルール、実現性などを確認し、条件を満たせば再検討できるのか、別案を考えてもらうのかまで示すと、判断と育成の両方が見えます。

部下に配慮するために結論を曖昧にすると、管理職として何を決めたのか伝わりにくくなります。
結論と育成配慮を両立させる書き方を意識してください。

顧客からのクレームは、すべて最優先にすべきですか?

顧客からの連絡という理由で、一律に最優先と決めるのは避けたいところです。

見るのは、放置した場合の影響、時間の経過による悪化、安全や信用への影響、他の顧客への波及など。
重大な製品不具合と請求書表記への問い合わせでは、同じ「クレーム」でも緊急度は変わります。

ラベルより中身を見て、ほかの案件と比較しながら優先順位を決めます。
「顧客案件=最優先」と覚えるより、この比較軸を持つほうが応用が利きます。

部下がミスをした案件では、まず本人を指導すればよいですか?

まず本人を注意する、とすぐ決めるより、顧客や業務への影響を先に確認すると判断が安定します。
そのうえで本人から経緯を聞き、「本人の進め方」「仕事量」「業務の仕組み」のどこに原因があるかを整理します。

本人側に改善が必要なら具体的な行動を決め、管理側にも課題があれば仕事の振り方や確認方法を修正します。
指導と業務改善をセットで見るのがポイントです。
「叱るかどうか」は、原因と影響を見た後に決めれば十分です。

インバスケット答案では、再発防止まで毎回書いたほうがよいですか?

再発防止は重要ですが、どの案件にも大がかりな改善策を書く必要はありません。
重大事故や同種トラブルが続いている案件なら、原因確認や仕組みの見直しまで考えたいところです。

一方、単発の軽微な事務連絡まで毎回「再発防止会議を開く」と書くと、時間や人の使い方が過剰に映ることもあります。
案件の影響度と再発可能性を見て、必要な深さを調整しましょう。
再発防止も、重要度に応じて濃淡をつけるのが実務的です。

インバスケット対策を一冊で整理したい方へ
優先順位、判断、委任、指示の書き方まで体系的に練習できるようまとめています。

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神崎ようこ
神崎ようこ

この記事を書いた人:神崎ようこ

特定社会保険労務士・CFP

企業の人材育成・評価に関わる現場で、
昇進試験やアセスメントに向き合ってきた経験から、
管理職試験・昇進面接・インバスケット、
人材育成などについて発信しています。

著書
「評価者はここを見る! インバスケットの解き方」
「評価者はここを見る! 面接の答え方」

インバスケット試験で差がつく 部下対応と顧客トラブルの判断術

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