親の介護が、ある日いきなり自分の予定表に入り込んでくる。
病院からの電話、家族との相談、仕事の段取り。
そこで真っ先に気になるのは、「休んだら収入はどうなるの?」という一点かもしれません。
気持ちの整理より先に、家計の計算が始まる。そんな方も多いはずです。
介護休業給付金は、その不安を少し軽くするための制度です。
2026年4月時点では、条件を満たせば休業前賃金のおよそ67%が支給の目安になります。
しかも、介護休業は対象家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取得可能。
介護のために仕事を休んだら、その期間の収入がまるごと消えてしまう――そう決まっているわけではないんですね。
とはいえ、制度の名前を知っているだけでは、すぐ動けるものでもありません。
「私は対象に入るの?」
「いくらくらい受け取れそう?」
「会社にはいつ、どう伝えたらいい?」
このあたり、気になりますよね。
しかも介護休業給付金は、申し込めば自動で振り込まれる仕組みではありません。
会社への申出、書類の準備、期限の確認。順番も大事になってきます。
この記事では、介護休業給付金について、支給額の目安、申請条件、手続きの流れ、必要書類をひとつずつ整理していきます。
あわせて、2025年4月の法改正を踏まえ、介護休暇、短時間勤務、テレワークなど、仕事と介護を両立するための制度にも目を向けます。
収入の話にとどまらず、この先どう働くかまで見通せる内容です。
まだ介護休業を取ると決めていなくても、読んでおいて損はありません。
制度を先に知っておくと、いざという場面で手が止まりにくい。
まずは、ご自身が対象に入りそうか、家計への影響はどのくらいか。その輪郭から、一緒に見ていきましょう。
- 介護休業給付金がいくらくらいもらえるのか、月収別の目安がわかる
- 自分が対象かどうかを、条件と対象家族から判断できる
- 会社への申出から申請期限まで、手続きの流れで迷わなくなる
介護休業給付金はいくらもらえる? まず支給額の目安を確認
介護休業給付金は、ひとことで言うと休業前の賃金のおよそ67%。
親の介護が急に現実味を帯びたとき、頭に浮かぶのは、きれいごとより家計の数字でしょう。
「休んだら、毎月いくら減るの?」――そこが見えないと、休む判断そのものが重たくなる。
まず知っておきたいのは、その金額感です。
この制度は、休んでいるあいだの暮らしを支えるためのもの。
ただ、休業前と同じ額がそのまま振り込まれるわけではありません。
しかも、会社から給与が少し出ると、給付額が動くこともある。
先にお金の輪郭が見えていると、気持ちが落ち着きますし、家計の組み直しもしやすくなります。
たとえば、介護休業中に会社から賃金が出ないケース。
厚生労働省のQ&Aでは、月15万円程度なら約10万円、月20万円程度なら約13.4万円、月30万円程度なら約20.1万円がひとつの目安として示されています。
数字が先に見えると、必要以上に身構えずにすみますね。
先に押さえておきたいのは、次の3点です。
原則67%。
ただし上限あり。
実際の額は、休業前6か月の賃金と、休業中に給与が出るかどうかで変わる。
ここが見えてくると、この先の条件や手続きも追いやすくなります。
介護休業給付金の計算式
介護休業給付金の土台になるのは、「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%」という式です。
文字にすると少しかたく見えますが、考え方は案外まっすぐ。
ここで出てくる休業開始時賃金日額は、原則として介護休業に入る前6か月の総支給額を180で割った額です。
総支給額というのは、税金や社会保険料が引かれる前の額。いわゆる額面ですね。
「手取りで計算するの?」
「賞与も入るの?」
このあたり、かなり迷いやすいところ。
結論を先に置くと、手取りではなく額面ベース、賞与は含まれません。
支給日数は、原則30日ごと。
ただ、介護休業が終わる月は少し扱いが変わります。
その月は介護休業終了日までの日数で計算。毎回きっちり30日でそろう、という形ではないんですね。
たとえば、休業前6か月の平均月収が20万円前後の方なら、目安は月13.4万円程度。
もちろん、最終的な金額は、会社が作成する「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」をもとにハローワークで決まります。
とはいえ、満額の給料ではないけれど、約3分の2あたり。この感覚がつかめていれば十分です。
計算の流れを短くまとめると、こうなります。
休業前6か月の賃金をもとに1日あたりの額を出す。
そこに支給日数をかけ、その67%が給付の目安。
まずはこの形、頭に置いておけば大丈夫。
休業前6か月の総支給額(賞与除く)
↓ ÷180
休業開始時賃金日額
↓ × 支給日数(原則30日)
支給対象期間の賃金額
↓ × 67%
1支給単位期間の給付額の目安
※ 会社から給与が出ると減額・不支給になる場合あり
※ 上限額あり
月収別の支給額目安
「仕組みはわかった。でも、私だといくらくらい?」
やはり、そこですよね。金額が見えないままだと、制度の説明はどこか遠い話に感じやすい。会社から介護休業中の賃金が出ない場合、厚生労働省の目安は次のとおりです。
- 平均して月収15万円程度:月額10万円程度
- 平均して月収20万円程度:月額13.4万円程度
- 平均して月収30万円程度:月額20.1万円程度
この数字を見ると、「収入がいきなりゼロになるわけではないのね」と、肩の力が少し抜ける方も多いはず。
介護の始まりは、たいてい急です。病院からの連絡、退院後の段取り、家族との相談、施設探し。
そこに収入の不安まで重なると、気持ちはかなり消耗します。
だから、金額の目安を先に確認する意味は大きいんです。
ただし、この数字はあくまで目安。
実際の支給額は、休業前6か月の賃金のつき方、最後の月の支給日数、休業中に会社から給与が出るかどうかで変わります。
「私は月収18万円くらい。どこを見ればいい?」
そんなときは、20万円の例より少し低め――そのくらいの見方で、おおよそのイメージは持てます。
細かな額までこの段階でぴたりと出そうとしなくていいんです。
最終的には、会社の証明書をもとにハローワークで確定します。
つまり、月収別の目安は、制度を理解する入口。
15万円なら約10万円、20万円なら約13.4万円、30万円なら約20.1万円。
この感覚があると、介護休業を取るかどうか、家計と照らし合わせながら考えやすくなります。
月収別の支給額早見表
| 休業前6か月の平均月収 | 給付額の目安(月額) | 読者向けの見え方 |
|---|---|---|
| 15万円程度 | 約10万円 | 家計がゼロ収入にはなりにくい |
| 20万円程度 | 約13.4万円 | 「約3分の2」の感覚がつかみやすい |
| 30万円程度 | 約20.1万円 | 高めの給与でも満額ではないとわかる |
注:会社から給与が出る場合や、上限額にかかる場合はこのとおりになりません。
減額されるケース・もらえないケース
介護休業給付金は、休業を取ったらいつも同じ額が入る――そんな仕組みではありません。
つまずきやすいのは、介護休業中に少し働いたときと、会社から給与が一部出たとき。
ここを知らずにいると、「思っていたより少ない」「対象になるつもりでいたのに違った」となりやすいところです。
まず、会社から支払われた賃金について。
たとえば、
「午前中だけ在宅で少し対応した」
「会社が配慮して一部給与を出してくれた」
そんなケース。働きながら介護を回していくのは、かなり現実的な選択です。
そこに後ろめたさを持つ必要はありません。
ただ、制度上は賃金が出ると給付額に影響が出る。ここは先に知っておいたほうが、あとで慌てずにすみます。
もうひとつ、見落としやすいのが就労日数です。
「少しでも働いたらアウト?」
そこまで厳しく考えなくて大丈夫。10日以下なら、その時点で直ちに対象外という扱いにはなりません。
賃金が出ていても、13%以下なら原則の支給額が保たれる形です。
大事なのは、自己判断で進めないこと。
会社の人事や申請担当に、就労日数と賃金の扱いを早めに共有しておく。これがいちばん安全です。
整理すると、誤解が集まりやすいのはこのラインでしょう。
少し働く。給与が一部出る。そのどちらも、給付額に関わる。
13%を超えると減額、80%以上で不支給、就労日数が10日を超えると支給対象から外れる。
この境目が頭に入っていれば、手続きの場面で慌てにくくなります。
介護休業給付金の申請条件は? 対象者・対象家族・日数を整理
介護休業給付金を調べるとき、最初に立ち止まるのは、やはりここでしょう。
私は対象に入るのか。
支給額の話に目が向きやすいものの、入口がぼんやりしたままだと、読み進めても心が落ち着きません。
介護休業給付金は、介護休業を取った人みんなに自動で出るお金、という仕組みではないんですね。
雇用保険に入っているか、どのくらい働いてきたか、誰を介護するのか。
そうした条件がそろって、はじめて見えてくる制度です。
見ておきたい軸は4つ。
雇用保険に加入しているか。
働いた実績が足りているか。
介護する相手が対象家族に入るか。
同じ家族について使える日数と回数の上限。
この4本が整理できると、「私にも使えそう」と輪郭が出てきます。
申請条件チェック表
| チェック項目 | 確認ポイント | YESなら先へ |
|---|---|---|
| 雇用保険に入っている | 被保険者である | ○ |
| 働いた実績がある | 開始日前2年間に11日以上働いた月が通算12か月以上 | ○ |
| 退職予定がない | 介護休業後に復帰予定 | ○ |
| 家族が対象範囲に入る | 配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母など | ○ |
| 介護の状態が要件に合う | 2週間以上、常時介護が必要な状態 | ○ |
| 日数上限を超えていない | 同一家族につき通算93日・3回まで | ○ |
申請できる人の条件
まず、介護休業給付金の対象になるのは、家族を介護するために介護休業を取った、雇用保険の被保険者です。
被保険者という言い方は少しかたいですね。ここでは、雇用保険に入って働いている人と受け止めておけば十分。
正社員はもちろん、条件を満たして雇用保険に入っているパートや契約社員も含まれます。
反対に、日ごとに雇われる働き方の人は、原則として対象から外れます。
もうひとつ、見落としやすいのが勤務実績。
たとえば、産休や体調不良で休んだ時期があって、「2年の中で12か月に届かないかも」と心配になる方もいるはずです。
その場合でも、病気やけがなどで30日以上、賃金を受け取れなかった期間があると、その日数ぶん判定期間を延ばせる場合があります。
ここ、自分ひとりで線を引いてしまうのは惜しいところ。会社の担当者かハローワークに確認したい場面です。
そしてもう一点。
介護休業のあと、職場に戻る予定があること。
介護休業給付金は、仕事を続ける人を支える制度です。介護休業に入る時点で退職が決まっていると、支給対象には入りません。
介護をきっかけに離職を考えている方ほど、この点は先に押さえておきたいですね。
つまり、最初の入口はこの3つです。
雇用保険に入っている。
直近2年の勤務実績が足りている。
休業後に復帰する予定がある。
ここが見えたら、次は「誰の介護か」「何日まで取れるか」に進めば大丈夫です。
どの家族の介護なら対象になる?
介護休業給付金は、法律上の対象家族を介護するときに使えます。
つまり、「義母の介護でも使える?」「兄弟の介護も入る?」という疑問には、どちらも対象、と答えられます。
ただ、家族なら誰でもそのまま対象、という話でもありません。
大事なのは、その家族が要介護状態にあるかどうか。
介護保険の要介護2以上がひとつの目安になりますし、座っていられるか、移動できるか、食事や排せつに介助がいるか、認知面の支援が必要か――そうした状態も判断材料に入ってきます。
この部分、勘違いしやすいんです。
「2週間以上」というのは、自分が休む日数の話ではなく、家族に介護が必要な状態が続く見込みの話。
たとえば、家族に3か月くらい介護がいる見込みがあり、その中の最初の10日だけ自分が介護休業を取る。
こうしたケースでも、条件がそろえば対象に入ります。「2週間休まないとだめ」と思い込まなくていいわけです。
見方のコツは、確認ポイントを分けること。
この家族は対象に入るか。介護の必要性は基準に当てはまるか。
ここを一緒くたにしない。そうすると、制度の輪郭がかなり見やすくなります。
何日まで、何回まで取れる?
ここ、かなり大事です。介護休業という言葉から、「3か月まとめて一気に休む制度」と受け取っている方が少なくないんですね。
けれど、実際はもっと現実的。必要な場面ごとに分けて使えます。
たとえば、退院直後の付き添いで10日。
そのあと、介護サービスの調整で20日。
さらに、施設入所の前後で残りを使う――そんな取り方もできます。
介護は予定表どおりに進みません。急な入退院もありますし、ケアマネジャーとの調整や家族会議で一気に時間が消える日もある。
だから、この「分けて取れる」という仕組みはかなり助かるはずです。
一方で、気をつけたい線引きもあります。
同じ家族については、状態が変わっても93日が新しく積み上がるわけではありません。
一度その家族のために93日を使い切ったら、同じ家族で再び93日、とはならないんですね。
ここは「前より介護が重くなったから、もう一度最初から使えるのでは」と受け取りやすいところ。
整理すると、介護休業は「3か月を一度に使う制度」というより、
同じ家族について93日を上限に、3回まで振り分けながら使う制度。
そう考えると、仕事との折り合いもつけやすくなります。
パート・契約社員でももらえる?
パートや契約社員でも、条件がそろえば介護休業給付金の対象に入ります。
「正社員じゃないから難しそう」と感じる方は多いものの、そこだけで外れるわけではありません。
期間を定めて働いている人でも、申出の時点で要件を満たしていれば対象になり得ます。
有期雇用の方がまず見たいのは、契約が近いうちに切れる予定になっていないか。
言い回しが長いですね。要は、まもなく契約終了と決まっている人は対象に入りにくい、という理解でまずは十分です。
さらに、会社で労使協定が結ばれていると、介護休業の申出そのものが難しい人もいます。
給付金は介護休業を前提に動くので、この入口は見逃せません。
ここで混ざりやすいのが、介護休暇の改正内容です。
2025年4月に変わったのは、介護休暇のほうの「継続雇用6か月未満」の扱い。介護休業とは別の制度です。
そのため、「6か月未満でも全部使えるようになった」とまとめて受け取ると、話がずれてしまう。
介護休業のほうは、2026年4月時点でも、労使協定による除外ルールが残っています。
なので、パートや契約社員の方は、そこで早々にあきらめないこと。
見ておきたいのは、雇用保険に入っているか、契約更新の見込みがあるか、会社の労使協定で外れていないか。
この3つです。迷ったら、会社の人事・総務へ。ハローワークでも確認できます。
ひとつずつ照らしていけば、案外、道筋は見えてきます。
介護休業給付金の申請方法と必要書類 手続きの流れをわかりやすく解説
介護休業給付金の手続きで、最初に頭に入れておきたいのはひとつ。
先に会社へ介護休業の申出をする。そのあとで、給付金の申請に進む。
この順番です。
ここが入れ替わって見えてしまう人、案外多いんですね。
親の体調が急に変わると、気持ちは一気に前のめりになりますから。「まずハローワーク?」と考えるのも自然です。
ただ、介護休業給付金は黙っていても振り込まれるお金ではありません。
会社が作る書類もありますし、勤怠や賃金の確認も必要になる。
入口は、やはり勤務先です。
流れを先に描いてしまうと、こんな形。
会社へ介護休業を申し出る → 会社が賃金の証明書を整える → 支給申請書を出す → ハローワークで審査 → 本人名義の口座へ振込。
① 会社へ介護休業を申し出る
↓
② 会社が賃金月額証明書などを準備
↓
③ 介護休業給付金支給申請書を提出(原則、会社経由)
↓
④ ハローワークが審査
↓
⑤ 支給決定
↓
⑥ 本人名義の口座へ振込
※ 申請期限:介護休業終了日の翌日から2か月経過日の属する月の末日まで
順番が見えると、それだけで気持ちが少し整いますよね。
この先は、「何を、いつ、誰がやるのか」を迷いにくい形で見ていきましょう。
まず会社に申し出るタイミング
親の介護が差し迫ってくると、「先に役所? ハローワーク?」と視線が外に向きやすいもの。
でも、スタート地点は職場。希望する日から休みに入りたいなら、まず会社に伝える。
この順番、ここで押さえておきたいところです。
申出の方法は、基本的には書面。
ただ、会社が認めていれば、FAXやメールでも受け付けてもらえます。
社内ルールに沿っていれば、ほかの電子的な方法が使えるケースもあるでしょう。
とはいえ、現場の運用は会社ごとにかなり違います。
「就業規則ではどうなっているか」「人事は何で受け付けているか」。ここは先に確認しておくと安心です。
「もう2週間前を過ぎている……」
そんなときも、そこで終わりとは限りません。
希望通りの日程で動きたいなら、やはり早めが有利。
急な介護だと理想通りに進まない場面もありますが、介護が現実味を帯びたら、まず人事か総務へ。
ここが基本線でしょう。
言い換えると、手続きの一歩目は会社。
2週間前までの申出、できれば書面で記録を残す、受付方法も先に確認。
この土台が整うと、その後の申請も進めやすくなります。
申請の流れ
介護休業給付金の流れは、ぱっと見では複雑そうです。
でも、時系列に並べるとそこまで身構えなくていい。
大事なのは、給付金の申請は介護休業が終わったあとという点です。
休みに入る前に先にもらえる仕組みではないので、ここは家計を考えるうえでも見逃せませんね。
実際の流れはこうです。
まず本人が会社に介護休業を申し出る。
次に、会社が雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書を用意します。
少し長い名前ですが、休業前の賃金を証明して、給付額を計算する土台になる書類です。
そのうえで、介護休業給付金支給申請書を提出。
ハローワークが内容を確認し、支給が決まったら、指定した本人名義の口座へ振り込まれます。
ここでつまずきやすいのが、「提出するのは誰?」というところ。
ふだんは会社が窓口になって進めます。
ただ、やむを得ない事情があって会社経由で出しにくいときは、本人提出も可能。
会社任せにせず、「いつ出す予定か」「誰がどこまで進めるか」は、ひとこと確認しておきたいですね。
もうひとつ、勘違いしやすい点があります。
介護休業給付金は、育児休業給付のように何度も振り込まれる形ではなく、一回の介護休業について、対象期間ごとの支給額を計算したうえで、まとめて1回支給されます。
毎月入ってくるイメージでいると、家計の予定がずれてしまう。ここ、かなり大事です。
流れそのものは、思ったより素直。
申出は会社へ、申請は原則会社経由、審査はハローワーク、入金は本人口座。
この並びが頭に入っていれば、全体像はつかめます。
必要書類
必要書類は、名前だけ見ると少し身構えます。
けれど、自分が用意するものと、会社が整えるものに分けて見れば、かなり整理しやすい。
ここが混ざると、「何から手をつければいいの?」と手が止まりやすいんですね。先に仕分けしてしまうのがコツです。
中心になるのは、介護休業給付金支給申請書。
そして、会社が用意する大きな書類が休業開始時賃金月額証明書です。
休業前6か月の賃金をもとに、給付額の土台を示すもの。
支給額に直結するので、ここは会社側の準備が欠かせません。
そのほか、確認資料として求められるのが、
介護休業申出書、
介護する家族の氏名・続柄・性別・生年月日がわかる書類。たとえば住民票記載事項証明書などですね。
さらに、介護休業の開始日・終了日や休んだ日数が確認できる書類、たとえば出勤簿。
そして、介護休業中に支払われた賃金がわかる書類、賃金台帳などです。
読者目線で分けるなら、こんな感じでしょう。
会社側が主に整えるのは、賃金月額証明書、出勤簿、賃金台帳といった勤務・賃金まわりの資料です。
ただ、ここは会社ごとの差も出やすいところ。
「住民票は本人が持参してください」と言う会社もあれば、「申請書はこちらで下書きします」という会社もある。
役割分担を先に確認しておくと、あとがラクです。
それから、見落としやすいものをもうひとつ。
支給申請書には本人と介護する家族のマイナンバーの記載が必要ですし、振込先として本人名義の普通預金口座も届け出ます。
通帳やキャッシュカードなど、口座情報がわかるものも手元に置いておくと安心。
地味ですが、ここで手が止まる人は意外と多いんです。
必要書類は、山のように見えても整理はできます。
本人は家族関係や申出関係、会社は賃金と勤怠の証明関係。
この分け方で眺めると、かなり動きやすくなるはずです。
申請期限と振込時期
申請期限は、手続きの中でも見逃したくないところ。
言い回しが少し独特ですよね。
ここを過ぎると申請が難しくなるので、しっかり伝えておきたいポイントです。
この数え方、さらっと読むと引っかかりやすいんです。
「終了日の翌日から2か月後」とざっくり覚えると、日にちがずれる恐れもある。
2か月経過する日の属する月の末日と押さえておくと、かなり確実です。
支給が決まったあとは、申請時に届け出た本人名義の普通預金口座に振り込まれます。
「出したらすぐ入る?」と気になるところですが、入金の時期は、申請内容やハローワークの処理状況で差が出ます。だからこそ、締切ぎりぎりまで引っぱらず、休業が終わったら早めに会社へ確認して動くのが安心。
口座情報が確認できるものも、あらかじめ用意しておきたいですね。
この手続きで山場になるのは、やはり期限の管理です。
申請は休業後。
締切は「終了日の翌日から2か月経過する日の属する月の末日」。
入金は審査後に本人口座へ。
ここを押さえておけば、手続きの見通しはかなり立てやすくなるでしょう。
介護休業給付金だけでは足りない人へ 仕事と介護を両立する制度も確認
介護でしんどいのは、お金の話ひとつに収まりません。
給付金が入るとわかっても、「それで何か月も休めるの?」となりますし、「辞めずに続ける道は残っている?」という問いも出てきます。
朝の付き添い、病院からの電話、ケアマネジャーとの面談、役所の手続き。
予定表がきれいに埋まるというより、仕事の合間に介護が割り込んでくる感じですね。
介護休業給付金は、収入の落ち込みをやわらげるためのお金。
そのほかの制度は、働き方を組み替えるための仕組みです。
両方そろって、ようやく現実に使える。そう考えたほうが近いでしょう。
2025年4月の法改正で、会社側に求められる支援も強まりました。
2026年4月時点では、「相談しづらいから黙って抱えるしかない」という空気を少しずつ変えていく流れに入っています。
給付金以外の両立制度比較表
| 制度 | こんな場面で使いやすい | 利用の目安 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 介護休業 | 退院直後、施設探し、体制づくり | 同一家族につき通算93日・3回まで | まとまった休み |
| 介護休暇 | 通院付き添い、役所手続き、面談 | 年5日、家族2人以上なら10日 | 短い休み |
| 短時間勤務等 | 毎日フル勤務が厳しい時期 | 3年以上の間に2回以上利用可 | 勤務時間調整 |
| 残業免除 | 残業があると介護が回らない | 請求により利用可 | 仕事量調整 |
| テレワーク等 | 在宅対応で両立しやすい仕事 | 事業主の努力義務 | 働く場所の調整 |
介護休業と介護休暇の違い
まず整理しておきたいのは、介護休業と介護休暇は役目が違う、という点です。
名前が似ているので混ざりやすいのですが、使いどころはかなり違います。
介護休業は、介護の体制を立て直すためにまとまった日数を取る制度。
退院直後の付き添い、施設探し、家族での役割分担の調整。そういう「数日では片づかない場面」で出番が来ます。
一方の介護休暇は、半日や数時間で足りる用事に向く休み。
通院の付き添い、ケアマネとの打ち合わせ、認定調査への立ち会い、役所まわり。
こちらのほうが日常の細かな困りごとに合いやすいんですね。
「午前だけ病院へ付き添って、午後は仕事に戻る」
そんな動き方なら、介護休暇のほうがしっくりくるはずです。
ここでひとつ、古い情報と混ざりやすいところがあります。
2025年4月から、介護休暇については継続雇用6か月未満の人を労使協定で外す仕組みがなくなりました。
社内の古い資料や以前の記事に「入社6か月未満は対象外」と書かれていても、今の扱いとは合わない可能性があります。
つまり、まとまった時間が要るなら介護休業。
細かな用事をさばきたいなら介護休暇。
この違いが見えると、制度の使い勝手はかなり変わります。「93日も一気に休むのは難しい」と感じる方ほど、まず介護休暇から使う場面が出てくるのではないでしょうか。
短時間勤務・残業免除・テレワークも使える?
ここ、かなり大事です。
朝だけ厳しい日もあれば、夕方の呼び出しが重なる週もある。
毎日フルタイム勤務で踏ん張るには、少し無理がある――そんな時期、ありますよね。
会社には、家族を介護する人のために短時間勤務などの措置を用意する義務があります。
たとえば、朝の排せつ介助や通院付き添いがあるなら時差出勤。
週に何日か、終業を早めたいなら短時間勤務。
「休む」以外にも打てる手があるとわかると、先が少し見えます。
制度名は堅いのですが、やっていることはシンプルで、働き方を介護の現実に寄せていくということなんですね。
そして、残業免除。
これも見逃せません。要介護状態の家族を介護するために請求した場合、会社は所定外労働を免除する義務があります。
所定外労働というのは、会社で決められた労働時間を超えて働く分、いわゆる残業のこと。
1回の請求につき1か月以上1年以内で使え、回数の上限はありません。
「残業がなくなれば続けられるのに」
そう感じている方には、かなり大きい制度でしょう。
そのほか、時間外労働の制限や深夜業の制限もあります。
時間外労働は1か月24時間、1年150時間までに抑えるよう請求できますし、午後10時から午前5時までの深夜勤務についても制限を求められます。
夜勤や長時間残業が介護と正面衝突しているなら、このあたりは一度きちんと確認しておきたいところです。
さらに、2025年4月からは介護のためのテレワーク導入が努力義務になりました。
努力義務という言葉は、少し曖昧に聞こえるかもしれません。
けれど、会社には導入へ向けて動くことが求められている、という意味です。
以前より、「介護があるので在宅勤務や柔軟な働き方を相談したい」と言いやすくなった。その変化は小さくありません。
介護中の働き方は、「休む」か「辞める」か、それしかないという話ではないんですね。
こうした制度を組み合わせると、続けられる形が見つかる場面もあります。
給付金の額だけ見て結論を急がず、働き方の選択肢まで一緒に眺めておきたいところです。
会社から説明がないときはどうする?
会社から何の案内もない。
これ、かなり不安ですよね。「私の会社には制度がないのかも」と感じる方もいると思います。
けれど、説明がないから制度まで消える、という話ではありません。
会社が対応すべき内容も、かなり具体的です。
たとえば、研修の実施、相談窓口の設置、社内事例の収集・提供、制度利用を後押しする方針の周知。
このどれかを行う必要があります。
なので、「会社から何も言われていないから、私は対象外かもしれない」と考え込まなくて大丈夫。
まずは人事や総務へ、「介護休業と介護との両立支援制度について確認したいです」と伝えてみてください。
相談窓口があればそこでも構いませんし、就業規則や社内イントラに案内が載っているケースもあります。
法改正のあと、会社側にも案内体制を整える責任が生まれています。
以前より、声をかけやすい土台はできているはずです。
それでも話が進まない。返答があいまい。
そういうときは、外の相談先を使ってください。
都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が案内先になります。
ざっくり分けると、給付金の申請実務はハローワーク、制度や会社対応の相談は労働局。
このイメージを持っておくと動きやすいでしょう。
会社から説明がなくても、制度そのものは使えます。
まず社内へ確認する。そこで止まるなら、労働局やハローワークへつなぐ。
この順番で十分です。ひとりで抱え込まず、使える制度は使う前提で話を進めてみてください。
よくある質問と回答
介護休業給付金に税金はかかりますか?
介護休業給付金そのものは課税対象ではありません。
所得税・復興特別所得税は差し引かれず、住民税の計算上も給付金自体は収入に算入されません。
ただし、住民税は前年所得をもとに決まるため、休業中でも前年分の住民税の支払いが残る場合があります。
給与天引きが止まると、普通徴収に切り替わるケースもあるので、会社と納付方法を早めに確認しておくと安心です。
介護休業中の社会保険料は免除されますか?
介護休業には、育児休業のような社会保険料免除はありません。
そのため、給与が出ない月でも、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料の本人負担分は支払う必要があります。
会社によっては、休業中は給与天引きができないため、後日まとめて請求されたり、振込で納めたりする運用になります。
給付金の額を見るときは、税金だけでなく社会保険料の支払いも含めて手取りを考えるのが大切です。
離れて暮らす親の介護でも、介護休業給付金の対象になりますか?
対象になります。
介護休業給付の対象家族には父母、配偶者、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母などが含まれ、同居しているかどうかは問いません。
そのため、別居の親の退院支援、通院の付き添い、施設入所の調整などで介護休業を取る場合でも、要件を満たせば給付の対象になりえます。
遠距離介護のケースほど、「同居していないから無理」と思い込まず、対象家族の範囲を先に確認したいところです。
介護保険の要介護認定を受けていなくても申請できますか?
はい。要介護認定を受けていることは必須条件ではありません。
介護休業制度でいう「要介護状態」は、負傷・病気・心身の障害により、2週間以上にわたり常時介護が必要な状態かどうかで判断されます。
要介護2以上はわかりやすい目安ですが、それ以外でも判断基準に当てはまれば対象になりえます。
会社は状態を確認する書類提出を求めることはできますが、医師の診断書だけに限定することはできません。
申請してから、どれくらいで口座に振り込まれますか?
振込日は申請内容や審査状況で変わるため一律ではありませんが、厚生労働省のQ&Aでは、支給決定後はおおむね1週間程度で口座に振り込まれると案内されています。
まず確認したいのは、会社がハローワークへ申請を済ませているかどうか。
通知書が届いていない段階なら、まだ審査中の可能性があります。
申請期限は介護休業終了後なので、休業が終わったら会社の担当者に「いつ申請する予定か」を先に聞いておくと安心です。

まとめ
最後に、大事なところを4つに絞って置いておきます。
介護休業給付金は休業前賃金のおよそ67%が目安。
介護休業は対象家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取得可能。
申請は休業前ではなく休業後で、期限は介護休業終了日の翌日から2か月を経過する日の属する月の末日まで。
そして、仕事との両立を考えるなら、介護休暇、短時間勤務、残業免除、テレワークも一緒に確認しておきたいところです。
介護と仕事は、「休む」「辞める」の二択に追い込まれるものではない。
制度を知っていると、収入の見通しが立てやすくなりますし、働き方の調整もしやすくなります。
2025年4月からは、会社に個別周知・意向確認や40歳前後での情報提供も求められるようになりました。
以前より、相談の入口は見つけやすくなっています。
この記事を読み終えたら、まず動きたいのは3つ。
会社の人事・総務に制度を確認すること。
必要書類を早めに把握すること。
ハローワークや厚生労働省の案内で最新情報を見ておくこと。
介護は、ある日突然始まります。
だからこそ、制度の全体像を先に知っておく。
その備えが、あとで自分を助けてくれるのではないでしょうか。

