朝は親の通院に付き添い、午後はいつも通り仕事へ戻る。
そんな日もあれば、退院後の暮らしを整えるために、しばらく働き方そのものを見直したい場面もあります。
介護が始まると、休み方の選び方ひとつで、その後の動きやすさがかなり変わってきますよね。
そこで迷いやすいのが、「介護休暇」と「介護休業」です。
名前は似ていても、使う場面も、取れる日数も、お金の扱いも同じではありません。
義父母も対象に入るのか、離れて暮らす親でも使えるのか、認定前の段階で相談してよいのか。
気になる点は意外に多いものです。
この記事では、介護休暇と介護休業の違いを一覧で整理しながら、働きながら介護に向き合うときに押さえておきたいポイントを、ひとつずつ見ていきます。
介護休暇は年5日または10日、介護休業は対象家族1人につき通算93日まで。
介護休業給付は原則67%です。
- 介護休暇と介護休業、どちらを使えばいいか
- 使える日数、給料・給付金の違い
- 義父母や別居の親も対象になるのか
- 要介護認定前でも使えるのか
- 会社に確認したいポイント
介護休暇と介護休業の違いを一覧で比較
朝、病院に付き添うために数時間だけ仕事を抜けたい日もあれば、退院後の段取りを整えるために、しばらく働き方そのものを調整したい場面もあります。
介護と仕事が重なると、この差が案外大きいんですね。
ここを最初に整理しておくと、会社へ相談するときの言葉が選びやすくなります。
先に芯の部分をお伝えすると、短い用事に合わせて休みたいなら「介護休暇」、まとまった時間を確保したいなら「介護休業」。
まずはこの分け方を頭に置いておくと、迷いがかなり減ります。
ひと目でわかる比較表
| 項目 | 介護休暇 | 介護休業 |
|---|---|---|
| 目的 | 通院の付き添い、ケアマネとの面談、役所での手続きなど、その都度の介護対応に使いやすい | 介護の体制を整えるために、ある程度まとまった時間を確保して動く |
| 休み方 | 必要な日に使いやすい | しばらく休みを取り、集中して対応する |
| 使える日数 | 対象家族が1人なら1年度に5日まで、2人以上なら10日まで | 対象家族1人につき通算93日まで |
| 取得単位 | 1日単位または時間単位 | 原則として日単位 |
| 給料・給付金 | 法律上、有給にする決まりはなく、給料が出るかどうかは会社のルールによる | 会社からの給与は社内ルールによるものの、一定要件を満たせば介護休業給付金(休業開始時賃金日額の67%相当)の対象 |
| 対象家族 | 配偶者(事実婚含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母 | 同じ |
| 対象労働者 | 要介護状態の家族を介護・世話する労働者。日々雇いは除外。パート・契約社員も対象に入る場合あり | 要介護状態の家族を介護する労働者。日々雇いは除外。パート・契約社員も一定要件で対象 |
| 申出方法 | 口頭で申し出ることも可能(社内様式があるときはそれに沿う) | 希望どおりに始めるには、休業開始予定日の2週間前までに書面などで申出 |
この表は、厚生労働省が案内している2026年4月時点の内容をベースにまとめたものです。
まず押さえたいのは、この輪郭でしょう。
「パート勤務だと難しいのでは」と不安になる方も多いのですが、そこで線を引くのは早いかもしれません。
日々雇いは除かれる一方、パートや契約社員でも要件を満たせば対象に入ります。
さらに2025年4月からは、介護休暇について「継続雇用6か月未満」を理由に外す扱いがなくなりました。
ここ、思い込みで見落としやすいところですね。
就業規則は一度のぞいておきたいところです。
どう使い分けるとわかりやすい?
考え方は、案外はっきりしています。
この置き方をすると、頭の中がすっと整いやすいのではないでしょうか。
たとえば、親の通院に付き添う。ケアマネジャーと30分ほど話す。介護サービスの申込書を出しに行く。
こういう場面なら、介護休暇のほうがしっくりきます。
1日まるごと休むほどではない、それでも仕事を抜ける必要はある。そんな日にちょうどいい制度です。
一方で、退院後の受け入れ準備を進めたい、施設を探したい、離れて暮らすきょうだいと役割分担を決めたい、サービスをまとめて調整したい。
こうなると、介護休業の出番です。
ここが見えてくると、制度の選び方にも手応えが出てきます。
「まずは有給休暇で様子を見るほうがいいですか」と聞かれることも少なくありません。
もちろん、有給休暇が役立つ場面はあります。
けれど介護は、一回の通院で終わるとは限りません。面談、手続き、見守り、連絡調整。細かな対応が続いていく。
そんな流れの中で年次有給休暇を先に使い切ってしまうと、後半で苦しくなりやすいんですね。
介護のための休みには、専用の制度が用意されている。
この視点を持っておくと、働き方の組み立て方が変わってきます。
もうひとつ、見落としやすいのがお金の話です。
介護休暇は、使える制度であっても有給とは限らない。
一方、介護休業には、会社の給与ルールとは別に雇用保険の介護休業給付金が支えになる可能性があります。
休み方を考えるときは、日数だけでなく、家計にどんな影響が出るかも一緒に見ておきたいところ。ここ、大事です。
このあと本文では、介護休暇と介護休業それぞれについて、使える日数、給料、対象家族、パート・契約社員の扱いをもう少し丁寧に見ていきます。
最初の分かれ道は、やはりここです。短く休みたい話なのか、まとまった時間を取りたい話なのか。
まずそこから考えてみてください。
介護休暇を知っておくと、急な呼び出しにも慌てにくい
朝、親の病院に付き添う。
昼休みにケアマネジャーと話す。
午後は役所で手続き。
介護が始まると、こういう細かな予定が、ある日ふいに増えてきます。
しかも、ひとつ終わればそれで一段落、とはなりにくいんですね。
通院、面談、書類、連絡。小さな用事が続いていく。
そのとき、知っているかどうかで動きやすさがかなり変わるのが介護休暇です。
先に言ってしまうと、介護休暇は「数時間抜けたい」「今日だけ休みたい」という日に頼りになる制度。
長い休みを前提にした仕組みとは役割が違います。
仕事を続けながら介護の用事を回していく。そのための、かなり現実的な制度ですね。
「有給休暇と何が違うの?」
「半日だけ抜ける使い方もできる?」
ここ、気になる方が多いところ。順番に見ていきましょう。
介護休暇で使える日数と取得単位
まず押さえておきたいのは、何日使えるのか。
ここ、うっかり読み違えやすいところです。家族1人につき5日という数え方ではありません。
そして、使い勝手のよさに直結するのが取得単位。
介護休暇は1日単位、または時間単位で取れます。
たとえば「午後の診察に付き添いたい」「午前中だけ面談に出たい」。そういうときに動きやすい。
丸一日休むほどではない。でも勤務中には対応しづらい。そんな日に、この制度が生きてきます。
「1年度って、いつからいつまでですか」と確認されることも多いですね。
会社に特別な定めがなければ、4月1日から翌年3月31日まで。
就業規則に別の区切りが書かれている会社もありますが、何も書かれていなければこの期間で考えてよいでしょう。
「半休みたいな取り方もできますか」という声もよくあります。
法律の言い方でいえば、半休という表現より時間単位。ここは少し違いますね。
社内の運用は会社ごとに差があるので、申請するときは就業規則や社内ルールも一度のぞいておくと安心です。
介護休暇中の給料はどうなる? 有給? 無給?
ここは気になりますよね。
結論から言うと、介護休暇という制度があることと、休んだ日に賃金が出ることは、切り分けて見たほうがよい部分です。
介護休暇は、会社が認めるべき制度です。
けれど、法律上、有給にしなければならないという扱いにはなっていません。
そのため、休んだ日の給料が出るかどうかは、会社の就業規則や社内制度しだい。
ここを混同すると、あとで「あれ?」となりやすいんですね。
介護のための休みなのだから、有給だと思いたくなる。
その気持ちは自然です。けれど実務では、無給で運用している会社もあれば、独自に有給扱いにしている会社もあります。
確認したいのは、就業規則の「介護休暇」「特別休暇」「賃金控除」あたり。
少し地味な作業ですが、ここを見ておくと後が楽です。
【休んだときのお金の考え方】
介護休暇
└ 会社の制度を確認
├ 有給扱いの会社もある
└ 無給扱いの会社もある
介護休業
├ 会社から給与が出るか → 就業規則しだい
└ 雇用保険の給付は? → 一定要件を満たせば介護休業給付金
原則:休業開始時賃金日額の67%
もうひとつ。介護休暇は年次有給休暇とは別枠です。
有給休暇が残っていないから介護休暇も使えない、そんな話にはなりません。
ここを知ると、気持ちが少し軽くなる方も多いはず。
急な付き添いが続く時期は、有給を温存したい場面もありますから。
介護休暇が役立つ場面
介護休暇がしっくりくるのは、短い時間で済むけれど、勤務中には動けない用事です。
たとえば、親の通院付き添い。介護サービスの契約手続き。ケアマネジャーとの打ち合わせ。役所の申請。急な見守り対応。
こういう場面、ありますよね。ひとつひとつは短時間でも、働いている身にはなかなか重い。
そこで介護休暇が助けになります。
介護が始まったばかりの時期は、こうした細かな用事が次々に出てきます。
大きな出来事より、むしろ細かな予定の積み重なり。そこに合わせやすいのが、この制度です。
一方で、退院後の暮らしを整える、施設を探す、家族で役割分担を決める。
こうした場面になると、介護休暇だけでは足りないこともあります。
そういうときは、介護休業や短時間勤務など、ほかの制度も一緒に見ていく流れでしょう。
介護休暇は、日々の仕事と介護のあいだをつなぐ制度。
その位置づけで考えると、使いどころが見えやすくなります。
| 場面 | 向いている制度 | ひと言メモ |
|---|---|---|
| 親の通院付き添い | 介護休暇 | 数時間単位で動きやすい |
| ケアマネとの面談 | 介護休暇 | 半日程度の用事と相性がよい |
| 役所での申請 | 介護休暇 | 単発の外出に使いやすい |
| 退院後の受け入れ準備 | 介護休業 | 数日以上かかる調整に向く |
| 施設探し・見学 | 介護休業 | 複数日かかりやすい |
| 家族会議・サービス調整 | 介護休業 | まとめて時間を取りたい場面 |
2025年改正で押さえておきたいところ
2025年4月1日から、介護休暇について見逃せない見直しが入りました。
「継続雇用6か月未満」の労働者を対象外にできる仕組みがなくなったんですね。
入社して間もない方、転職したばかりの方にとっては大事なポイントです。
以前は、労使協定がある会社で、入社6か月未満の人を介護休暇の対象から外しているケースが見られました。
けれど、2025年4月以降は、その扱いが見直されています。
「まだ半年たっていないし、使えないかも」
そう思って止まっていた方は、一度制度を見直してみる価値があるでしょう。
とはいえ、全員が同じ条件で対象になるわけではありません。
現在も、労使協定がある場合には週の所定労働日数が2日以下の労働者などは対象外とされる余地があります。
また、時間単位での取得が難しい業務については、時間単位の取得に限って制限がかかるケースもあります。
細かな運用は会社ごとに違いますから、制度名を見て終わりにせず、社内ルールまで確認しておきたいところですね。
介護は、ある朝いきなり始まる。そんな印象を持つ方も多いと思います。
だからこそ、困ってから調べるより、少し早めに輪郭をつかんでおくと助かります。
介護休暇は長く休むための制度ではないものの、働きながら介護に向き合う入口として、とても頼もしい仕組みです。まずは、使える日数、給料の扱い、申請方法が自社でどうなっているか。そこから確認してみてください。
対象家族・要介護状態・会社に確認したいポイント
制度の説明を読んで、最後に手が止まりやすいのはこの場面だと思います。
「仕組みはわかった。でも、うちのケースは入るの?」
ここが見えないままだと、会社に相談する一歩も重たくなるものです。
目印は3つあります。
誰を介護するのか。どんな状態なら対象に入るのか。会社の運用が法改正後の内容に追いついているか。
この3本を押さえると、頭の中がだいぶ整理されます。
どこまでが対象家族?
まずは、誰の介護で使えるのか。
つまり、実の親だけではありません。
義母や義父も入りますし、祖父母、きょうだい、孫も対象です。ここ、意外と見落とされやすいところですね。
そして、ほっとできるのがもうひとつ。
たとえば、離れて住む親の介護でも対象になります。
「実家が遠いから無理かもしれない」と思っていた方には、大きなポイントではないでしょうか。
少し細かなところまで見ておくと、「子」は法律上の親子関係がある子が対象です。
養子も含まれます。
申請の直前に慌てて確認するより、早めに輪郭をつかんでおくほうが落ち着いて動けます。
いざというとき、人は思った以上に忙しくなりますから。
要介護認定がなくても使える?
ここも不安になりやすいところです。
親の様子が急に変わって、まだ要介護認定の申請前。そんな時期、ありますよね。
制度上の基準は、介護保険の要介護認定を受けているかどうかだけではありません。
法律では、負傷、疾病、身体上または精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態かどうかが土台になります。
つまり、見られているのは認定区分の名前そのものより、実際にどれくらい見守りや介助がいるのか、という点です。
この点は、かなり大事です。
親が急に弱ってきて、まず通院や付き添いが先に始まる。認定はまだ。そういう流れは珍しくありません。
その段階でも、状態によっては制度の対象に入ります。
もうひとつ、会社から「診断書を出してください」と言われたとき。
ここで気持ちがしぼんでしまう方も多いと思います。
要介護認定結果通知書も診断書もまだ手元にない。その段階で話が終わるわけではない、ということです。
ここをひと言でまとめるなら、こうでしょう。
見るべきなのは「認定があるか」より、「2週間以上、常時介護が要る状態かどうか」。
この軸が頭に入っていると、会社に相談するときの言葉も選びやすくなります。
会社に「使えない」と言われたときの確認ポイント
会社に相談したとき、返ってきた説明が少し古い。そんな場面もあります。
担当者に悪気はなくても、制度改正の反映が追いついていないケースはあるんですね。
だからこそ、感情で押し返すより、どこを確認するかを落ち着いて押さえておくと話が進めやすくなります。
最初に見たいのは、就業規則に介護休暇・介護休業の定めがあるか。
会社には制度に沿った規定整備が求められていますし、厚労省も規定例や様式例を公表しています。
社内ルールが古いまま残っていないか、ここは最初のチェックポイントです。
次に確認したいのは、対象外とされる条件が今の法令に沿っているか。
介護休暇については、2025年4月1日から「継続雇用6か月未満」を理由に対象外とする扱いがなくなりました。
会社から「入社して半年たっていないので難しいです」と言われたときは、その説明が今の制度と合っているか、いったん立ち止まって確認したいところです。
制度を置いておくだけでは足りず、必要な情報をきちんと伝えることも求められているわけです。
「使える制度があるのかわからない」
「相談したのに詳しい案内がなかった」
そんなときは、その点も含めて確認してよい場面でしょう。
会社に聞くときは、少し言い方を整えるとやり取りしやすくなります。たとえば、
- 「介護休暇・介護休業の対象家族の範囲を確認したいです」
- 「2025年4月の改正内容は、社内運用にも反映されていますか」
- 「介護に直面したときの案内資料や相談窓口があれば教えてください」
こんな聞き方です。角が立ちにくく、必要な情報にもたどり着きやすい。
制度の話は、少し切り出しにくいものです。でも、ここは遠慮しすぎなくて大丈夫。
介護と仕事を両立するために用意された制度なのですから、確認するのは当然の流れです。
【会社に確認する順番】
① 就業規則に介護休暇・介護休業の規定があるか
↓
② 自分の雇用形態は対象か
↓
③ 2025年改正後の内容に更新されているか
・介護休暇の「6か月未満除外」は削除済みか
↓
④ 相談窓口・案内資料はあるか
↓
⑤ 個別周知・意向確認の仕組みがあるか
よくある質問と回答
介護休暇は「中抜け」で使えますか?
時間単位で取得できる会社でも、法律上の時間単位休暇は、基本的に「始業時刻から連続」または「終業時刻まで連続」の形です。
つまり、朝2時間休んで出社する、あるいは早退する使い方は想定されていますが、勤務の途中で抜けて、また戻る「中抜け」まで会社に義務づけているわけではありません。
実際に中抜けを認めるかは会社の運用次第なので、就業規則や申請ルールを確認しておくと安心です。
派遣社員でも介護休暇や介護休業は使えますか?
はい、派遣社員でも対象になりえます。
厚労省は、有期雇用労働者の例としてパート、アルバイト、派遣なども挙げており、介護休業は一定の要件を満たせば取得できます。
介護休暇についても、要介護状態の対象家族の介護や世話を行う労働者であれば対象です。
なお、実際の申出先や社内手続は雇用主である派遣元が中心になるため、まずは派遣元の担当者に確認する流れが基本です。
介護休業給付金を受けるには、どんな条件がありますか?
介護休業給付金は、介護休業を取れば自動的に出るわけではありません。
雇用保険の被保険者であることに加え、介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あることが基本要件です。
有期雇用の方は、これに加えて、介護休業開始予定日から93日経過日から6か月を経過する日までに契約満了が明らかでないことも求められます。
金額は原則、休業開始時賃金日額の67%です。
介護休暇や介護休業を申し出たら、評価や昇進で不利になりますか?
制度の申出や取得を理由に、解雇や減給、降格、不利益な配置転換、不利な人事評価を行うことは、育児・介護休業法で禁止されています。
厚労省は、介護休業をした人を休業期間を超えて昇進・昇格の選考対象から外すことや、申出しただけで不利に評価することも、不利益取扱いに当たりうると示しています。
もし評価や配置に不自然な変化があったと感じたら、記録を残したうえで人事や労働局に相談することを考えてよい場面です。
介護保険サービスを使うには、要介護認定が必要ですか?
勤務先の介護休暇・介護休業を使う場面では、要介護認定がなくても対象になりうる一方、介護保険サービスそのものを利用したい場合は、市区町村で要介護認定や要支援認定の申請が必要になります。
つまり、会社の制度利用と介護保険サービス利用は、見ている基準が少し違います。
親の状態が変わってきたら、会社への相談とあわせて、地域包括支援センターや市区町村窓口にも早めに相談しておくと動きやすくなります。
まとめ
介護と仕事を両立するとき、最初の分かれ道になるのは、その日の用事に合わせて短く休みたいのか、それとも体制を整えるためにまとまった時間を取りたいのか。ここです。
親の通院に付き添う、ケアマネジャーと面談する、役所で手続きをする。
そうした一つひとつの用事に対応したいなら、介護休暇が使いやすいでしょう。
反対に、退院後の受け入れ準備を進める、介護サービスをまとめて調整する、家族で役割分担を決める。
こうした場面なら、介護休業のほうが動きやすいはずです。
介護休暇は1年度に5日、対象家族が2人以上なら10日までで、時間単位での取得も可能。
介護休業は対象家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取れる。
まずはこの違いを頭に置いておくと、選びやすくなります。
次に見ておきたいのが、お金の話です。ここは見過ごせません。
介護休暇は、制度として用意されていても、有給扱いになるとは限らず、休んだ日の給料がどうなるかは会社の就業規則によります。
一方の介護休業は、会社の給与ルールとは別に、一定の条件を満たせば雇用保険から休業前賃金の67%相当の介護休業給付金を受けられます。
制度の名前を知るだけでは足りず、賃金と給付の扱いを分けて見ておくことが大切ですね。
そして、対象になる家族の範囲は、思っているより広めです。
配偶者、父母、子に加えて、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母も含まれます。
しかも、同居しているかどうかは問いません。離れて暮らす親の介護でも対象に入ります。
さらに、利用できるかどうかは、介護保険の要介護認定が出ているかどうかだけで決まるわけではなく、法律上は2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態かどうかが基準です。
親の状態が急に変わり、まだ認定前。その段階でも相談の余地はあります。
そこで止まらなくて大丈夫です。
迷ったときは、いったん立ち止まって、こう考えてみてください。
今日は数時間の休みで足りるのか。あるいは、体制を整えるために数日単位の時間がほしいのか。
この問いかけが、介護休暇と介護休業を選ぶときの目印になります。
必要になってから慌てて調べるより、今のうちに就業規則の介護に関する項目を一度見ておく。
そのひと手間が、いざというときの落ち着きにつながります。

